
■青年ボランティアの総合支援へ
広島市は、21世紀に向けたまちづくり構想「ひろしま新世紀都市ビジョン」を策定し、“人間賛歌都市ひろしま”の実現を目指している。そして、アジア競技大会や広島国体での市民ボランティアの活躍もあって、構想の一環として「ボランティア20万人計画」を推進しているところである。
当館も、この構想の下でボランティアの育成・支援を推進し、青年の個人的・社会的成長を促すとともに、次代の広島を担う青年市民を積極的に育成していこうと考えている。そして、平成9年度から「青年ボランティア総合事業」に取り組むことにした。。この総合事業は、?@ボランティア育成事業(総合ガイダンス事業、専門ボランティア育成事業、及び交流研修事業)、?Aボランティア機会の開発・提供(ボランティア・アドバイザー制度、事業ボランティア制度)、及び?Bボランティア組織の育成・支援(専用ルームの設置、相談活動など)の三つの部分から構成される。これまでのボランティア関連事業を体系化するとともに、新たな事業を加えて総合化し、相乗効果を上げようとするものである。同時に、総合事業は、主催事業や受け入れ事業を積極的に青年参画型に改めるものでもある。それによって、学習修了者が次は企画者側に回って学習成果の活用をするなど、一つの事業を参加者側・企画者側の両方で青年の育成の役立てることができるだけでなく、青年の視点で事業を企画・運営していくことで、青年層のニーズを捉えた、より効果的な事業としていくこともできるのである。
■青年の青年による青年のための館を目指して
以上、当館の運営の状況を簡単に述べてきた。こうした運営方針を一言で表すと、“青年の青年による青年のための館”づくりと言えるのではないか。登録グループ連絡組織による自治と館運営への参画はもちろんであるが、事業ボランティア制度やボランティア・アドバイザー制度による主催・受け入れ事業への青年の参画は、事業全般をも青年の自治領域として開放し、利用者自治を進めるものと捉えることもできるであろう。
戦後間もない時期に、公民館は“民主主義の学校”として大きな期待を背負って登場したが、
“青年の青年による青年のための館”は、現代青年が集団活動を通じて個人的・集団的成長を達成する場であるだけでなく、利用者自治を通じて民主主義社会における市民自治のあり方を体験的に学べる学校であると言えるであろう。こうした点を考えるとき、本来“青年のための”施設であるはずの青年の家の多くが、青年離れから“青年の”施設でなくなりつつあるような現状はとても残念なことである。“青年による”施設自治は、青年離れをくい止め、本当の「青年の家」の姿に戻していくためにも効果的な方法の一つではないかと考えるのである。
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